【書評】精神科医が実践する デジタルに頼らない 効率高速仕事術 井原 裕

現役医師が書いた「仕事術」の本
著者は、獨協医科大学越谷病院に勤務する精神科教授。
医師が書く本と言えば「健康になる◯◯な方法」とか「これをやったら◯◯になる」 といった心身の健康がテーマというのが一般的で、個人的にもそれらの書籍にはあまり興味がありませんでした (健康に興味がないというよりは、40手前の自分にはまだ健康への危機感が薄い) 。
しかし、本書は、医師が「仕事術」について書いた異色の本です。著者は、精神科医であり大学病院の教授という、医師の役割に加えて、組織の管理職でもあります。
「仕事術」(=主に事務処理)というと、ビジネスマンの領域であり、 医師にとっては無縁に思えますが、そもそも医者になるような優秀な人は、 子ども時代から受験を勝ち抜き、国家試験、専門医試験を突破して、 医師になってからも研究会、学会発表、留学など、一年中「試験前の学生」のような生活を送っているわけです。 そんな医師の仕事の処理能力がビジネスマンと比べて劣るはずがありません。
さらに、その医師の中でも「大学病院の教授」という大組織の中間管理職の役割を担う著者は、 臨床医として優秀なだけでなく事務処理能力も際立って有能な人です。
「大学病院の教授」といえば「白い巨塔」の”財前五郎”のように絶大な権力を持ち、多忙や雑務とは無縁のようなイメージしてしまいますが、
本書に触れられている「大学病院の教授」のリアルな姿は、膨大かつ煩雑な書類仕事を抱えて日々、膨大な書類、資料、会議、メール、電話、来客に追われる、”財前五郎”とはかけ離れた姿です。
しかし、井原氏の実践する、膨大な事務処理を迅速かつ正確に処理していくための方法と愚直な姿勢は、スーツに着替えさせたら、間違いなく一流のビジネスパーソンと思わせる内容で、仕事の効率化に大いに参考になるものでした。
仕事術の3要点
井原氏が実践する「仕事術」は以下3つの方法です。
身体の法則がいかに強力に思考を支配しているか、という医師らしい着目点が特徴で眠気の周期性という生理学的な法則性を考慮に入れています。
①発想の管理=アイデアはすべて5秒以内に手帳に記すこと
②書類の管理=必要な書類の9割を30秒以内に机上に取り出せるようにすること
③時間の管理=時間管理の中心に睡眠リズムを置くこと
リーダー的な立場で仕事を動かす人の多くが、進行中の複数の案件の全体像を把握し、かつそれぞれの案件に関わる人の進捗具合をモニタリングすることだと思いますが、上記の3要点を参考に実践することで仕事がより効率高速に進めることができます。
詳しい内容は、別の機会にブログで紹介したいと思います。
今日はここまで。
