【書評】文系でもプログラミング副業で月10万円稼ぐ!

本書は、知識ゼロから、ランディングページを自力で制作できるスキルを身につけて、
月に10万円稼ぐことを目標としたもの。
著者はエンジニア歴30年、プログラミング指導歴15年という熟練のエンジニアで、
「侍エンジニア塾」の講師でもある、日比野 新(ひびの しん)さん。
スクールの講義のように、実際にパソコンで手を動かしながら本書の課題をクリアしていく形式だが、
21日間で「Webサイトって何?」というレベルの人でも、HTML、CSS、JavaScriptの基本スキルが身につき、最終的にはランディングページを制作スキルが身につくという、指導のノウハウがつまった一冊だ。
個人的には、本書で目標にしている「プログラミングで月に10万円稼げるようになろう」というシンプルな目標設定がわかりやすくて良いと思った。
なぜなら、月に10万円という目標は、がんばれば手が届きそうな額だからだ。
月に100万は大変そうだが、これなら自分にもできそうな気がしてしまう(しかし、現実は甘くないが)。
「ランディングページ」って何?

ところで、本書での課題である「ランディングページ」の制作だが、
そもそも「ランディングページ」(=以下、LPと省略)とは何なのか?
わかりやすく言うと「ネットのチラシ」であるらしい。サイトの訪問者に、その場で注文や問い合わせなどのアクションを起こしてもらうことに特化したレイアウトで作られる。
普段、スマホなどで目にしているLPは、名うてのWebマーケターやクリエイターたちがキャッチコピーやらイメージ写真やらをあの手この手で魅力的に見せてくれているが、
本書ではそういった作り込みのノウハウについては触れない。それよりも、「Webってこういう技術で動いていて、そのためにはこういうプログラミングコードを書けば動きますよ」というのを読者に手を動かしてもらいながら体験させるように書かれている。
ゆえに、課題で出されるヨガ教室やスポーツジムのLPは、何の装飾もなく、アカ抜けないものだが、それでも自分で手を動かして作ったLPが動いたときにはちょっとした感動がある。
手を動かすことで、Web制作の全体像が見えた

また、著者の日比野 新(ひびの しん)さんは、ITになじみのない、文系の人にこそプログラミングスキルを身に着けてもらいたいと提言する。
ITは、これからのビジネスシーンで不可欠なスキルだといわれているが、人材不足にも直面している(経産省の調査で、2025年には36万人の需給ギャップが予想されている)。
文系・理系のような、縦割りではまかないきれないほど、業務にITを取り入れることが一般的になってきたのだろう。それには、コミュニケーションの文脈を敏感に読み取れる文系的な能力は重宝されるかもしれない。
話は戻るが、現実的には、本書の課題をすべてやってみて、これでランディングページが作れるスキルが完璧に身についたかと言われたら、仕事になるレベルとしては程遠い。
HTMLとCSSで全体のデザインを整え、JavaScriptで計算機能を追加する、その他、Googleアナリティクスのコード追加、レスポンシブ対応まで調整というとこまで、ひと通りやるが、初心者向けスクールで教えてもらうような内容で、あくまで入り口に立ったというに過ぎない。
しかし、この1冊をやりきったことで、いままでただ眺めているだけだったWebについて、実にいろんな情報を得ることができた。
手を動かすことでしかモノを考えられないタイプの自分は、
Webの仕事をしようと思ってもいまいち全体像がつかめず、プロセスがわからなかったが、
ようやく腑に落ちてきたという手応えを感じられた。
それになりより、Web制作が楽しいと思えたことが一番の収穫でした。