【書評】やり抜く人の9つの習慣

成功するためには、「才能」が必要なのか?
誰もが達成できるわけではないような高い目標だけではなく、
「禁煙」「ダイエット」「運動」「学習」に、なぜ多くの人は挫折してしまうのか?

何十年にもわたる心理学の研究結果から、
高い目標を達成した人は、
「才能」によって成功したのではなく、
「ある種の思考や行動」によって、自らを成功に導いていた。

この本は、メンタリストDaiGoさんがYoutubeでオススメしていた本です。「文章量も少なく、1日で読めますよ」ってことで、数々の挫折に覚えのある自分は無視しきれず読んでみました。

著者は、コロンビア大学モチベーション・サイエンス・センター副所長であるハイディ・グラント・ハルバーソン氏=モチベーションと目標達成の分野の第一人者です。

読んで気づくのですが、本書は、著者ひとりの研究結果だけではなく、多くの心理学者の研究結果を引用し、
成功に最も寄与している要因が「習慣」であることを裏付ける研究を集めたキュレーションBOOK的な構成でつくられています。

目標を達成できる人に共通する思考や行動を「9つの習慣」にまとめて紹介されており、「なるほど、だから自分は継続できなかったのか」と自分の経験に置き換えて妙に納得感のある内容が満載でした。

「9つの習慣」として紹介されていますが、グルーピングすると、
「目標」「継続」「意志力」に分けれて整理できます。

「目標」について4つ(1~4)

1、目標に具体性を与える
  → 目標を具体的に書き出す。(例=5kgやせる)
  → 達成したときに得られることを書き出す(例=スリムなボディー)
  → 達成するにあたり障害になるものを書き出す(例=行きつけのスイーツ屋)

2、目標達成へ行動計画をつくる
  → どんな行動をするか事前に具体的に決めておく
  → 「いつ」「何を」やるかハッキリ決めておく(例=月・水・金は、30分ジョギングする/16時になったら、今日送るべきメールはすべて送信する)
  → 「if-thenプランニング」=「もしこうなったら、こうする」という手法は、脳が記憶しやすい
  → それだけで、実行できる確率が2倍~3倍も高くなる研究結果あり。

3、目標までの距離を意識する
  → 目標までの距離が把握できないと今の自分とのギャップを意識できない
  → その結果、「やる気が出ない」「集中できない」という状況になる
  → 「これまで思考」=(どこまでやり遂げたか)より「これから思考」(ゴールまであとどれだけか)の方が、成功の確率が高い

4、現実的楽観主義者になる
  → 「目標は達成できる」と信じることは大切だが、「簡単に達成できる」と考えてはいけない
  → 目標達成が簡単ではないことを意識して、成功に相応しい努力をする

「継続」について2つ(5、6)

5、「成長すること」に集中する
  → 「証明すること」より「成長すること」
  → 「成長すること」にフォーカスすると、「仕事の意味」が変わってくる
  → 成長を実感する充実感は、「完璧」を目指す緊張感とは全く別物

多くの人が能力「知能・性格・身体能力は生まれつき決まっていて、自分の努力ではどうしようもない」と考えています。つまり「がんばっても頭は良くならない(性格は変わらない、身体能力は上がらない)」と信じているのです。
その結果、「今の自分のできると思える範囲で目標を立てる」ことになります。つまり目標が「自分の未知の能力を引き出す」ためのものではなく「すでにある自分の能力を証明する」ためのものになってしまっているのです。
これは、本当にもったいないことです。
なぜなら、「能力とは生まれつき決まっているもので、変えることはできない」という考え方は間違っていることが、多くの研究で実証されているからです。

第5章「成長すること」に集中する

6、「やり抜く力」を持つ
  → 「固定的知能観」知能は持って生まれた固定的なものと決めつける
  =うまくいかないのは自分の能力のせいとしてしまい、継続をやめてしまう
  → 「拡張的知能観」能力は経験や努力によって高められると考える
  =「努力不足だった」「戦略を間違えた」「プランを練らなかった」などと自分の努力や行動のせいにする。自分でコントロールできることに原因があると考えれば、「成功は自分のがんばり次第」と信じることができる

「意志力」について3つ(7~9)

7、筋肉を鍛えるように意志力を鍛える
  → 意志力は筋力と似ていて、使わなければ衰えるが、定期的に正しい方法で使えば少しずつ強くすることができる
  → ジムに入会し、2ヶ月間ジムに通い続けられた人は、同時に禁煙者は本数を減らし、お酒を飲む人はその量を減らし、ファストフードが好きな人はそれを食べる量を減らしていた
  → 「鉄の意志」を持つ人を思い浮かべるだけで意志力がパワーアップしたり、回復力を高めることができる

8、自分を追い込まない
  → 意志力を過大評価しない
  → 「意志力には限りがある」という事実を受け入れ、誘惑を避ける
  → 「禁煙を継続できる自身がある」と答え、誘惑を避けず意志力に頼ったた人より、「たばこの誘惑のある状況を避ける」と答えた被験者のほうが、禁煙を続けられる

9、「やめるべきこと」より「やるべきこと」に集中する
  → 「○○○をしないようにする」より、「□□したら、△△する」という具体的行動を目標にする
  → 例=短気な人「カッとしない」より、「(if)怒りがこみあげたら、(then)まずは3回、深呼吸する」
  → 目標を見つけることと同じくらい、それを「どう表現するか」が重要

この本で一番気づきのあったところ(個人的)

「証明すること」より「成長すること」にフォーカスする
能力は固定的ではないし、目標は自分の能力を他人に証明するためのものではない。他人と比較するのではなく、半年前、1年前の自分と比較し、成長を実感することこそ、人生の楽しみだと気づいた。

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