【尾崎豊】その天才的な詞の世界

尾崎豊さんの歌で好きな4曲の歌詞を紹介します。
私は中学生の頃から尾崎豊さんのファンです。37歳になってからギターを覚え、彼の曲の弾き語りをやっています。
改めて曲を聴くと、歌詞に込められた表現力に目を見張ります。言葉の一つ一つはシンプルなのに、その紡ぎ方の妙なのか、情景描写がリアルなのです。
俳句に傾倒していた父(尾崎健一さん)のすすめで、年少のころから俳句を詠んでいた生い立ちがベースにあるのかもしれません。
以下の4曲はすべて尾崎さんが14歳~19歳の頃に書き上げた歌です。
(尾崎さんが20代で作った歌にもたくさん名曲がありますが)
10代の少年が何十年も生きてきたような繊細な感覚を書き綴ったことに驚きます。
街の風景
街の風に引き裂かれ 舞い上がった夢くずが
尾崎豊 #アルバム「17歳の地図」 #タイトル「街の風景」
路上の隅で寒さに震え もみ消されていく
道端に散り積もった落ち葉に、自身の寂しげな気持ちを投影させているようです。冬のおとずれを感じさせる空気感が漂います。
15の夜
盗んだバイクで走り出す 行く先も解らぬまま
尾崎豊 #アルバム「17歳の地図」 #タイトル「15の夜」
暗い夜の帳の中へ
誰にも縛られたくないと 逃げんこんだこの夜に
自由になれた気がした 15の夜
この曲を聴いて、尾崎豊さんのファンになりました。
なにより、”自由になれた” とはいわずに、”自由になれた気がした” と表現するところに、尾崎豊さんの凄みを感じます。
上記の引用には入れませんでしたが、曲の中に、
「夢見てるあの子の家の横を サヨナラつぶやき走り抜ける」
「闇の中ぽつんと光る自動販売機 100円玉で買えるぬくもり」
という歌詞があり、目を閉じて聞くと本当にその夜の中にいるようなリアリティに包まれます。
17歳の地図
人波の中を掻き分け 壁づたいに歩けば
尾崎豊 #アルバム「17歳の地図」 #タイトル「17歳の地図」
隅から隅這いつくばり 強く生きなきゃと思うんだ
ちっぽけな俺の心に 空っ風が吹いてくる
歩道橋の上振り返り 焼けつくような夕陽が
今心の地図の上で 起こるすべての出来事を照らすよ
”壁づたいに歩けば” の言葉に、尾崎豊さんの謙虚さが垣間見れます。
少年から大人へと成長していく段階の様々な気づきの中に、「壁は越えられない」という事実を受け入れ、前を向いて生きようという若々しさがみなぎっています。
for get me not
初めて君と出会った日 僕はビルのむこうの空を
尾崎豊 #アルバム「壊れた扉から」 #タイトル「for get me not」
いつまでも さがしていた
君がおしえてくれた 花の名前は
街にうもれそうな 小さなわすれな草
「ビルのむこうの空を~さがしていた」は ”満たされない何か” を遠くに求めている描写であり、「街にうもれそうな小さなわすれな草」は ”幸せが近くにある” ことの比喩としての描写と捉えられます。
恋人が大切なことを気づかせてくれた、というニュアンスをまるで景色を見せるかのような言葉で紡いでいます。