クルマ旅での出来事

学生時代のこと。
友人にW君という男がおり、 よく一緒にクルマ旅をした。
北海道、東北、信州、四国と
目的地だけを決めたら後はノープランで出発し、
車中泊しながら旅をしたものだ。
「道の駅」などにクルマを停め、車中泊しながら目的地を目指していたが、
ときには 交代でどちらかが運転し、その間もう一人は寝る、ということを繰り返しクルマを走らせた。その方が早く目的地に到着できるからだ。
そしてトラブルはボクが助手席で寝ていて、W君が運転しているときに
よく起こった。
四国を一周しているときは、いつの間にか農道に入り込み、
ボクが目を覚ましたときには、農家の溝に片輪が落っこちたのを
農業用トラクターで溝から引っ張り上げてもらっているところだった。
(うかうか寝ていられんな…)
とは思ったものの、旅の疲れからどうしても助手席で寝てしまうもので、
一番に恐怖を感じたのは、東北を旅した帰り、国道6号線を走っていたときだ。
W君が運転し、助手席で寝ていたボクは、
何か気配を感じ、ふと目を覚ました。
そしてちらっと後ろを振り返ると、後部座席に、知らないおっさんが乗っていた
のだ。
そのおじさんは、作業員風の格好をした50代くらいで、
ボクが目を覚ましたことに気づいたはずだが、何故か一言もしゃべらない‥
運転しているW君も一言も発しない‥
重苦しい空気が漂う。
(おいおい?いったい、何が起きているんだ?)
(ヤバいことに巻き込まれてないか?)
3人とも無言のまま、走り続ける。色んな妄想が頭を駆け巡る。
そこで突然、おじさんが、「あーー!」と
声を上げた。
「ここだここだ、そこのコンビニ入ってくれ」
W君がハンドルを左に切り、ローソンの駐車場に入るとおっさんは
「おう、ありがとうなっ」
と言って、そそくさとクルマから降りてしまった。
後から聞くと、ボクが寝ている間、ヒッチハイクに会い、おじさんを乗せてあげていたとのこと。
それにしても、なんか言ってよ…
これで、テスト問題を作ったよ。
ご活用いただけて何より笑