【思い出】会社で出会ったおじさんたち②

新卒で勤めていた会社では、残業すると、優しいことに1,000円までなら晩ご飯代を経費で払ってくれていた。
それで、残業飯を会社の近くの店に食べに行ってもよいが、
夜の時間帯はどの店もお酒が入って騒がしいし、店で注文して食べてる時間がもったいないので、よく出前を頼んだ。
酢豚ですよね・・?
吉井さん(60代前半)は、役員で、ダンディーな紳士だった。
仕事内容は全然違うのだが、残業で一緒になると、よく中華の出前を頼んだ。
吉井「ヤマザワ君、今日も酢豚にしようか?」
ボク「はい。そうしましょう!」
吉井さんも、ボクも、とくに酢豚がお気入りでよく注文していた。
吉井「いやー、ここの酢豚はおいしいよな。野菜なんかちゃんと油を通していて」
ボク「はい、味がしっかりしてておいしいですね」
吉井 「とくに、この肉がな。おいしいね。うん。この肉は?鳥かな?うん、鳥肉だ。うんうん」
ボク「 ・・・・・ 」
(うん? 酢豚、だから、、豚だよな。。汗)
こういう類の突っ込みたいシーンがいくつもあったのだが、引っ込み思案の自分は何も言えずにモヤモヤしていた。
写真合成で大失敗
また当時(15年くらい前)、今ほどデジタルが浸透しておらず、
印刷原稿として支給される写真は、印画紙に印刷された状態のものを渡されることが多かった。
それをボクのような制作の人間がスキャンしてデータ化するわけだ。
それで普段、吉井さんは、記者なので、取材に行って自分で撮った写真や、先方から渡された写真をボクのような制作の担当に渡していた。
ただ、その日は少し様子が違い、いつになくあわてた吉井さんが声をかけてきた。
吉井「ああっー!・・・ヤマザワくん。ちょっと、これどうにかなるかな・・??」
と言って、写真を渡された。
ボク「!!・・・・んんーー!?」
それは、女性が写った写真なのだが、写真の腕部分に、あきらかに修正液か何かで袖が付け足されていた。しかも、はみ出しているし、不自然。

(写真はイメージです)
ボク「これは‥無理ですね。。。」
「半袖姿で寒そうに見えるから」という理由でチャレンジしたところ収集がつかなくなったそうです。
もちろん写真は使い物にならず、ボツ。

(写真はイメージです)
新卒で入った会社は、このようなどこか憎めない年配の社員が何人もいて、ツッコミどころ満載な事件がよく起きていた。
その後、転職した会社では、超絶なブラック環境、異常な主従関係・パワハラに苦しむ経験もしました。
その対比からなのか、新卒でお世話になった会社の人のやさしさ、
温かみが懐かしく、また当時は自分の思慮不足から気づくことがなかった、自分は(会社の人たちに)守れている、という事実に気がつきました。
「外の世界が見たい」と別業種へ転職し、厳しい職場環境に身を置いたことで経験値を上げることはできましたが、
同時に可愛がってくれた人たちを裏切ることにもなってしまいました。
いまも前職の会社を思い出すたび、懐かしさや楽しさ以上に忘恩の徒としての負い目を感じざるを得ません。